課題:『ペンタクォーク』
1.講演者 白鳥 昂太郎(日本原子力研究開発機構)
演題 「J-PARC K1.8ビームラインにおけるペンタクォーク探索実験」
概要:
ペンタクォーク(Θ+)の探索実験はLEPSグループからの報告を受け
世界各地で行われているが、LEPSのデータを指示する結果が多数報告
されている一方で、Θ+の存在を否定する実験結果も同様に多数報告
されている。すなわち、Θ+の存在は未だに確定していない状況である。
我々はJ-PARC E19実験を2010年10-11月にJ-PARC K1.8ビームラインで
行った。本実験は記念すべきJ-PARCハドロンホール最初のphyics result
を得た実験となった。実験ではπ中間子ビームを用いたπ- p -> K-X反応
によってΘ+の生成を行う。過去に高エネルギー加速器研究機構(KEK)
において同様の反応を用いて行われた実験では2.6σのバンプ構造が
ミッシングマススペクトルに確認されている。KEKでの実験では
磁気スペクトロメータの分解能が十分ではなく、よってΘ+の発見に
繋がる高い感度での実験が必要であった。E19実験では入射πと散乱Kを
高い分解能を持つK1.8ビームラインスペクトロメーターとSKSでそれぞれ
測定し、ミッシングマスとしてΘ+の質量を測定する。実験データにより
見積もられる質量分解能は1.4MeV/c2(FWHM)であり、これはこれまでで
最も高い感度を達成できる性能である。
本講演ではJ-PARCE19実験の紹介をし、得られた結果について報告する。
2.講演者 兵藤 哲雄(東京工業大学)
演題 「ペンタクォークTheta+とエキゾチックハドロン」
概要:
構成クォーク数が4つ以上のエキゾチックハドロンは、
基礎理論であるQCDからハドロンがどのように構成されるかを
明らかにする上で重要な役割を果たす。
本講演ではペンタクォークTheta+の基本的な性質を確認し、
メソン入射生成反応と結合定数や幅の関係について議論する。
また、重いクォークのセクターを含めたエキゾチックハドロンの構造と、
その理解に必要な理論的な枠組みを議論する。